ネズミのメモ用紙

読書用の備忘録のために色々読んだ本の雑感を書いていく予定です

映画:パラサイト

 最近何かと話題だった韓国映画「パラサイト」を見てきた。日本上映直前くらいにポスター(こういうの:http://netgeek.biz/archives/146612)がツイッターの方に出回ってきた時から少し気になってたんで、ようやくといったところ。それはさておき、非常に良い映画だったのでネタバレ込みの感想をまとめておこうと思う。

 

 概要は既にあちこちでまわっているだろうから省略。個人的には前半は完全にこち亀みたいだなぁ、と思っていた。いっそあの辺りで部長が出てきて笑って終われるなら気楽な映画でいいなぁと思って見ていたし、もっと言えば正直見ていられなかった。脇の甘い悪役とか、悪事の最中に気を抜いているところってドキドキし過ぎて見てられない気分になってしまう。ある意味、共感性羞恥みたいなものだと思うんだけど、あの感覚はやはり苦手だ。

 逆に後半、具体的には地下室の存在が明らかになる辺りからは息を呑みっぱなしだった。もうほとんど映画の雰囲気さえ変わってきて、別物を見ていたんじゃないかって気さえする。急に世界の底が抜けてさらに下の世界が開ける流れと、一方で地上のお金持ち一家の明るい世界と地下/半地下の2つの家族の醜くて惨めな世界との格差が明確化していく一晩の話が強烈だった。同じ豪雨の中でも綺麗な雨水に打たれる金持ち家の少年(と豪邸で穏やかな夜を過ごす家族)と家がどぶに沈む半地下の家と血まみれの地下の住人とが同時に思い起こさせるのは象徴的な部分だったように思う。

 (あまり見ないのでイメージの部分も多いが)邦画だとこういう暗い話だと難解で、場合によっては理解するためには何度も見ないといけない気がするのだけど、この映画はこれだけ前半と後半で話の雰囲気が違うのにストーリー自体が非常に分かりやすかった。起承転結がこれまで見た映画の中でも群を抜いてはっきりわかりやすかったように気がするので、それが1つの原因だと思う。また、臭いだったり計画だったりと象徴的なキーワードが分かりやすかったのも理由だろう。

 

 貧困・格差のような内容を扱った最近の映画だと万引き家族があるので、これも近いうちに見て感想を書きたいと思う。